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Archive for the ‘3. 関東地方’ Category

一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会理事長 南涼子さん(2)

2011-09-27

今回のインタビューは、前回に引き続き、一般社団法人 日本ユニバーサルカラー協会南涼子さんにお話を伺いました。

1回目のインタビューはこちら


一般社団法人 日本ユニバーサルカラー協会の業務内容:
カラースペシャリスト、カラーセラピストの養成・色彩コンサルティング全般・講演

一般社団法人 日本ユニバーサルカラー協会の沿革:

2000年 福祉・医療分野を専門としたカラーコンサルタントとして独立
2001年 全国での講演・大学、専門学校等の講師として活動を始める
2003年 「日本ユニバーサルカラー協会」設立
2010年 「クリスタルカラーセラピー」を考案、開発する
2011年 「美人になれるカラーセラピー」を開発・展開する
日本ユニバーサルカラー協会を一般社団法人化

一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会
カラーニュース 中川(以下中川):前回のインタビューで、「ユニバーサルカラー」をライフワークにしたいと仰っていましたが、昨年(2010年)、「クリスタルカラーセラピー」という新しいカラーセラピーも作っていらっしゃいますよね。こちらはどのようなきっかけでお作りになったんですか?

日本ユニバーサルカラー協会 南さん(以下敬称略):もともと専門学校や大学で色彩心理を教えているのですが、そこでよく「カラーセラピーってどう思いますか?」って聞かれていたんですね。その時はあまりカラーセラピーにしっくり来ていなくて興味もなかったんです。占いっぽいというか、スピリチャルっぽいものが多いというイメージで、「理由や根拠があいまいなものが多い」って。個人的には占いは好きなんですよ(笑)。でも、カラーの専門家としての立場としては正直カラーセラピーに対する抵抗感がありました。

中川:時々カラーリストの方に「アンチカラーセラピー」もいらっしゃいますよね。でもアンチだったのになぜカラーセラピーを?

南:教育を続けているとそれなりに深く協会に関わってくれる生徒さんの数も増えていくんですが、ある時、そんな生徒さんの1人から「先生、これだけやっているのに何かツールを作らないんですか?」って言われまして。「色彩心理みたいに、教えている内容はとっても素晴らしいんですが、ちょっと敷居が高く、かたい。もっと初心者でも楽しく、エンターテイメント性を取り入れたものがあったほうが良いのではないでしょうか?」って。それが2010年の5月3日です。

中川:日にちまで覚えているんなんて。大きな転機になった言葉ですね。

南:それまでカラーセラピーには抵抗があったんですけど、「そうか、じゃあ私が好きになれて、納得できるカラーセラピーを作ればいいんだ」と思うようになって。
一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会
中川:南さんが「好きになれるカラーセラピー」とはどんなセラピーですか?

南:塗り絵で行うカラーワークもそうなんですが、私は色と形の心理学をずっと教えていたんです。色と形は同じ「視覚」ですから密接に関わっているんですね。そこで、色の性質を表す形を組み合わせたカラーセラピーを思いついたんです。じゃあ素材は何で作ろうかという話になるのですが、長く使える機能性と品質、ビジュアル面も考えてクリスタルガラスに落ち着きました。

中川:それにしても、思いついたのが去年5月、実際形になるまでかなり短い期間ですよね?

南:10年以上前から行っていたカラーワークという色と形に対する下地があったので、考える時間はあまりかかりませんでした。それと思いついてすぐに行動しましたから。それでも、色や形にこだわりがあり妥協をしませんでした。「できません」と業者に言われて、また業者選びから振り出しに戻ったりして…。

中川:1つ1つ違う形をしていますが、これはどうやって決めたんですか?

南:色の特徴がそれぞれありますけど、それを形の要素に1つ1つ置き換えていったんですね。例えば、白は、すべての色光を含んでいるというところで「偏りがない」とも言えますし、「原点の色」ともいえると思うんですね。そうすると、球形は偏りがないですし、形の原点でもあると思うんですね。ミクロの世界もマクロの世界も自然界のものは全て球体が基礎の形ですから。また、茶色は収穫の色、大地の色でもありますが、時間経過や熟成の結果生じる色でもあります。ですから新しさをそぎ落とした安定した形ということで立方体になっている、といった具合です。
一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会
中川:白や茶色のように、すべての色と形に意味があるんですね。色は白・ピンク・赤・オレンジ・黄色・緑・青・水色・紫・茶色・黒と11色ありますが、このバリエーションはどのように決めていったんですか?

南:一言で表すことができる身近な色ということで選びました。様々なカラーセラピーがある中で、茶色や黒は、採用していないセラピーも多いと思うのですが、黒も茶色も日常生活では欠かせない色ですよね。どちらの色もインテリアなどで身近に使われる色。黒は私たちが睡眠をとる夜の色、充電には欠かせない色ですし、茶色は肉でも魚でも、食べる前に煮たり焼いたりすると茶色になりますし、大地や土の色でもあるので、私たちの食や欲求に繋がる色。ですから黒と茶色も入れています。逆に灰色は、あいまい過ぎて形にすることが難しいということや、カラーセラピーを行うにあたり色の意味が分かりずらくなるということや、他の色でも充分補うことができるという見地から入れませんでした。

中川:カラーセラピー自体はどのようなプロセスで行っていくのでしょうか?
一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会
南:大きく2つ方法があるのですが、まず1つ目が「パーソナルクリスタル」といって、「自分をあらわすならどのクリスタルですか?」と伺って1つ選んでいただく方法です。これはその方のパーソナリティを診断していくものなのですが、そこには「同調」と「補償」があります。「同調」は自分自身の本来の姿に近いもの、「補償」は逆で、自分にないものを求める心理です。もう1つが気になるものを3つ選んでいただく方法です。1つ目が現状、2つ目が課題、3つ目が希望で、希望を叶えるためにどうしたら良いのかを分析していきます。さらにもう1つ「リジェクティブクリスタル」という、避けたくなる、見ていて気持ちが良くないクリスタルを1つ選びます。これはその方が拒否している要素を示します。

中川:「クリスタルカラーセラピー」という言葉を聞くと、一瞬「ユニバーサルカラー」とは違うものであるようにも思えるのですが、どのように「クリスタルカラーセラピー」を「ユニバーサルカラー」に
活かしていこうと考えていらっしゃいますか?

南:先日癒しフェアに出展したのですが、その時ある方が認知症のお母様をお連れになったんですね。せっかくだからパワーストーンをプレゼントしようかと思ったそうなんですが、そのお母様、「クリスタルカラーセラピーのブースが良い」とおっしゃって、クリスタルを1つお買い上げになったんです。自分から「欲しい」と言ったことはそれまでなく、色のついたクリスタルを見たときが初めてだったそうなんです。「クリスタルカラーセラピー」を開発する前もカラーワークなどを行うことで「メンタルケア」として色を活用してきましたが、「クリスタルカラーセラピー」を活用することで、より身近にメンタルケアを行うことができるものと思っています。今後も高齢者施設でのメンタルケアで活かすのはもちろん、前回のインタビューでもお話させて頂きましたが、目が見えない方へも実際クリスタルに触れて頂き「色の形はこうなんですよ」というお話をしながら、色彩教育ができればと思っております。
一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会
中川:これからメンタルケアに大いに活用できるツールになりそうですね。新しいカラーセラピーを作る過程で「生みの苦しみ」はありましたか?

南:レベル1で使用するリーディングブックがあるのですが、これは辞書や参考書のように、どういう色を選んだかで意味が参照できるようにしているんですね。これを作る時がいちばん大変だったかもしれません。今となってはいい思い出ですが。

中川:最初の立ち上げ時期は本当に大変ですよね。レベルはいくつまであるのですか?

南:レベル5まであります。レベル2が有料でカウンセリングができるレベル、レベル3がティーチャーとなります。最近は、色彩を学ぶのが初めてという方も多いので、フォローアップ講座も行っているんですよ。

中川:なるほど。広まっていくほど、それだけ受講される方のバックグラウンドも幅広くなりますものね。
ところで、他のカラーセラピーにはない、「クリスタルカラーセラピー」の特徴は何ですか?

南:ズバリ「理論」です。理論がしっかりしているところと、色を視覚的に三次元の形として見せるというものは他にはないですね。あとはクリスタルガラスの輝きやクリア感も魅力ですよ。
一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会
中川:こうして11色並べると、ほんとうにキラキラ輝いて素敵ですね。
ところで、もう1つ、「美人になれるカラーセラピー」も展開されていますよね?ネーミングが気になっていたのですが。

南:「クリスタルカラーセラピー」では、2番目に選ぶ「セカンドクリスタル」は、その方にとって必要な要素とみています。例えば「デトックス」や「若返り」のように。それを健康検定とタイアップして栄養学的に導き出し、レシピにしたものが「美人になれるカラーセラピー」です。

中川:テーマごとにレシピが載っていて、とっても面白いですね!

南:これも、クリスタルカラーセラピーを受けたお客様の声をセラピストが吸い上げてでできたものなんです。カラーセラピーのカウンセリングを、内面的に活かすだけではなく、実際目に見える形で活かせるものが必要ではないかと思いまして。

中川:これまでお話を伺って来て、南さんが新しいことを始めるときには、必ず「人」が関わってきていますね。

南:そうなんです。協会を立ち上げるきっかけも、クリスタルカラーセラピーを作った時も、そしてこの美人になれるカラーセラピーもそうですが、全て「仲間」なんです。ユニバーサルカラー協会も仲間がいたからこそここまえ来ることができました。仲間との縁や協力があってこそ、1人ではできなかったことができているので、本当に感謝しています。

中川:さて、これまで2回にわたり、それぞれ「ユニバーサルカラー」、「クリスタルカラーセラピー」の2つの軸でお話を伺ってきましたが、これらを踏まえて、南さんが今後5年10年で実現したいことを教えて頂けますでしょうか。

南:5年後にはカラーセラピーの3本指に入っていたいと思っています。

中川:3本指?それはなぜですか?
一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会
南:生徒さんに活躍の場を与えるためには、「クリスタルカラーセラピー」の知名度を上げていく必要があると思うんですね。また「ユニバーサルカラー協会」としても、今はボランティアの人手が足りないんですが、メンバーを増やし層を厚くしたいと思っています。そうして5年後までには「ユニバーサルカラー」の概念をしっかり確立していきたいと思っております。10年後は、さらにステップアップして前回もお話した「目が見えないかたのための色彩教育」も確立していきたいと思っています。

中川:「クリスタルカラーセラピー」が、「ユニバーサルカラー」を広めていくきっかけになって発展していって欲しいですね!南さん、2回にわたりインタビューをさせて頂きありがとうございました。

(2011.8.29 一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会オフィスにて)


【取材後記】

お忙しい中2回に渡り、インタビューにご協力頂いた南さん。
最初、福祉や介護という全く未経験の分野で、1人で道を切り開いていらっしゃったバイタリティには頭が下がりました。
10年後には「ユニバーサルカラー」を完成させたいと仰っていたのがとても印象的でした。
2011年10月には一般社団法人化され、今後の発展がますます楽しみです。


一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会

一般社団法人 日本ユニバーサルカラー協会

コンセプト:
子供から高齢者まで快適に暮らせる色彩環境、カラーデザイン、色によるメンタルケア手法の開発研究及び提案。

メニュー・サービス・商品:
クリスタルカラーセラピスト養成講座
クリスタルカラーセラピストティーチャー養成講座
色彩心理講座(入門・実践・スペシャリスト・インストラクター)
福祉・医療分野におけるユニバーサルカラーのコンサルティング
講演・企業研修・シンポジウム講師派遣
色彩に関する書籍、寄稿等の原稿執筆

所在地:153-0051 東京都目黒区上目黒1-2-11 藤和中目黒コープ201
アクセス:東急東横線・日比谷線中目黒駅より徒歩3分, 東急東横線代官山駅より徒歩5分
営業時間:10:00-18:00
定休日:土曜、日曜日(講座開催日は除く)
問合先:
  電話 03-3719-5673
  FAX 03-3719-5674
  メール unica@universal-color.jp
  問合フォーム http://www.cctherapy.jp/f_mousikomi.htm
Webサイト1:一般社団法人 日本ユニバーサルカラー協会 オフィシャルサイト
Webサイト2:クリスタルカラーセラピー オフィシャルサイト
ブログ:色彩日誌blog


一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会

南 涼子さん

一般社団法人 日本ユニバーサルカラー協会理事長。
日本セルフアートケア(SAC)研究学会監事。
健康検定協会理事。
明治大学公開講座講師。
広告制作会社で企業イベントなどの業務に携っていたことから色彩の重要性を知り、色彩心理、配色理論、色彩計画、パーソナルカラー分析、色彩指導を学ぶ。1997年に文部科学省認定ファッションコーディネート色彩検定一級試験に合格後、高齢者施設・医療施設の色彩計画、高齢者や認知症に対応する色彩の研究に取り組み、特別養護老人ホーム・ケアセンターにてカラーワークセラピーの指導、実践を行う。
主な著書は、「介護に役立つ[色彩]活用術」(現代書林)、「介護力を高めるカラーコーディネート術」(中央法規)。

一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会理事長 南涼子さん(1)

2011-09-25

今回のインタビューは、一般社団法人 日本ユニバーサルカラー協会南涼子さんです。
2回にわたるインタビューの1回目である今回は、「ユニバーサルカラー」について伺いました。


一般社団法人 日本ユニバーサルカラー協会の業務内容:
カラースペシャリスト、カラーセラピストの養成・色彩コンサルティング全般・講演

一般社団法人 日本ユニバーサルカラー協会の沿革:

2000年 福祉・医療分野を専門としたカラーコンサルタントとして独立
2001年 全国での講演・大学、専門学校等の講師として活動を始める
2003年 「日本ユニバーサルカラー協会」設立
2010年 「クリスタルカラーセラピー」を考案、開発する
2011年 「美人になれるカラーセラピー」を開発・展開する
日本ユニバーサルカラー協会を一般社団法人化

一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会
カラーニュース 中川(以下中川):南さん、今日はインタビューのお時間を頂きありがとうございます。早速ですが、南さんが色に興味を持ったきっかけから教えて頂けますか?

日本ユニバーサルカラー協会 南さん(以下敬称略):広告の仕事をしていて展示会やイベントの現場に携わる仕事をしていた時に、ブースの集客と色が関わっている気がして、「色に効果や影響があるのか」と思っていたんですね。

中川:そういうところに気付くセンスはすごいですね。

南:企業イメージと色とのマッチングがあるのかなぁ…と思ったりして、これは調べてみなきゃ、と思ったんです。
ちょうどその頃は「代わりがいる」仕事ではなく、自分にしかできない、自分に合う仕事がないかなぁ…と思っていたので、色について調べてみることにしたんです。そうして本屋さんへ行ってみた本が「色の本棚」という本でした。
そのときまで色は感性やセンスだと思っていたのですが、理論的で根拠があるものだと気付かされたんですね。「色って仕事になるんだろうか?」と思いながらスクールにいったら、「やっぱりこれだ!」と感じまして。それでお決まりのパターンですが、色彩検定3級、2級、1級と取りました。

中川:資格を取ったところでどうしたら良いのかと悩む方はとても多いと思うのですが、南さんはどのように仕事に繋げていったのでしょうか?

南:どうやって仕事に繋げていこうか模索しました。自称「カラーコーディネーター」でも実際は仕事が来なくって、そんな期間が1、2年くらい続いたんですよ。

中川:そんな状況をどうやって打開されたんでしょうか?

南:「自称」でも周りの方に「カラーコーディネーター」だって言い続けていたんです。そうしたら、知り合いを通じて老人ホームから仕事の依頼が来まして。カーテンを総取り替えしたいので色の専門家を入れたいと言われたんですね。それまで、パーソナルカラーやファッションの分野で仕事をしたいと思っていたので、福祉や介護関係のお仕事は抵抗があったんですよ。「老人ホームって暗いんじゃないかなあ」って。最初は断ろうと思っていました。
一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会
中川:なぜ受けることにしたのですか?

南:何はともあれ実際行ってみないと分からないと思ったんです。それで行ってみたら、良い意味で期待外れだったんです。笑顔があるし、職員さんもみなさん生き生きとしていらっしゃって。施設長の方も色についての理解もあり、「ここでお仕事をさせて頂こう」と感じました。それがこの仕事を始めたきっかけにもなっています。

中川:カラーリストさんは、それまでの専門や仕事での経験を強みにしてお仕事をされている方が多いような気がしますが、経験ゼロから仕事を請け負うことに抵抗はなかったんですか?

南:もともと会社勤めだったころもゼロから作り出す仕事ばかりでしたので慣れていたんですよ。ゼロからでしたので、まずはその老人ホームでボランティアを行うことから地道に始めましたね。

中川:どんなボランティアを?

南:いわゆる「お話し相手」ですよ。入居者の方もそうですが、職員の方にもヒアリングを行いました。カーテンの色の提案にしてもどういう色が求められているのか、その場所にいる方に聞かないと分からないと思いましたので。そんな過程で人とのふれあいや職員の方の働く姿勢に心が打たれるものがあったんですね。老人ホームでのボランティアをしながら「私が求められている仕事はこれだ」と、使命を感じました。

中川:始めのカーテンのお仕事から、どのようにお仕事の幅を広げて今の協会を作られたんですか?
一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会
南:まず、老人ホームでの仕事の成果を発信しようと思ったんですね。当時はまだ今ほどインターネットが普及していなかった時代でしたが、ホームページを立ち上げて、発信することをしました。
それからボランティアも精力的に行ったんですよ。カラーワークというもので、例えば「初恋」のようなテーマを決めて抽象的な形に色を塗ってもらうというセラピーや、お年寄りの方に似合う色を提案するパーソナルカラー診断をやりました。そういったボランティアのこともホームページに載せるようにしていました。

中川:ホームページに活動内容を紹介して、反響はありましたか?

南:各方面から問い合わせがあったんですよ。取材の依頼や、「ボランティアに来てほしい」という依頼などなど。
それから、カラーリストさんから「私もやってみたい」という問い合わせもありました。最初は「どうして私が作り上げたノウハウを人に教えなきゃいけないんだ」と思ったりしていたのですが、最終的には「みんなにノウハウを提供して活躍してもらっていろいろな情報交換をしながら広めていくべきだ」と思うようになったんです。特に、今副理事をやってもらっている札幌の木村真夢さんとの出会いが大きかったですね。

中川:「この人だったら一緒にできる」と思ったポイントは何だったのでしょう?

南:行動力でしょうか。あとは初めて会った時も初めて会った感じがしなかったんですね。旧友に再会した感じで。それから少しずつ、一緒に関わってくれるメンバーが増えていきました。

中川:それがユニバーサルカラー協会を設立するきっかけにもなっているのでしょうか?

南:はい。徐々に仲間も増えてきたので、お互いが成長し合うためにも組織を作る必要があると思いました。個人よりも組織の方が大きい力になりますから。そうして2003年にユニバーサルカラー協会を立ち上げました。

中川:どうして「ユニバーサルカラー」という名前にしたのですか?

南:ちょうどそのころ「ユニバーサルデザイン」という言葉が広がり始めたところで、カラーにも「ユニバーサル」が必要だと感じたんですね。福祉・医療などの分野で色を広めていきたいということもあり、名前を付けました。
一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会
中川:今はどのような活動をなさっているんでしょうか?

南:主に福祉の現場で、インテリア、ファッション、心理、食…分野を問わず様々な「色」に関わる仕事をしています。また、活動を続けているうちに、講演の依頼が来たり、福祉や医療分野以外からのカラーコーディネートの依頼も来るようになったので、時々そのような仕事も受けています。例えば「統計調査員のカラーコーディネート」のような。

中川:統計調査員にまでカラーが必要とされているなんて!最初の老人ホームから始まって、徐々にお仕事の幅を広げられていったんですね。でも、福祉分野に特化することはビジネスという視点で考えた場合、難しさはありませんでしたか?

南:ありましたよ。やっぱり「ボランティアで」という依頼は多いんです。最初はボランティアで仕事を引き受けるというのは、「仕事の価値も下がるし、そもそも仕事じゃないでしょ」って思ったりしたんですけど、当時は実績がなかったので、「まず実績を作らなきゃ」という思いで受けていました。そうやって実績を積み上げていくうちに、徐々に報酬も付いてくるようになりました。

中川:印象的だったご経験はありますか?

南:ある老人ホームに行った時に、床に丸い水色の模様があったのですが、認知症の方がそこを通る時に避けて通ったり、そーっとゆっくり歩いたりするんですね。認知症の方は、水色の丸を「水たまり」に見ているんだということに気づいたのが記憶に残っています。

中川:それはびっくり。実際現場に行かないとなかなか気付かない盲点ですね。

南:あと、おしゃべり好きの重度の認知症の方が、カラーワークを始めると、おしゃべりをせず集中して取り組み、とっても個性的な色使いをされたり。また別の方は、話の内容や歩き方が女性らしいとはとても言えないくらいだったのですが、似合う色を知りメイクをしたことで、急に話し方や仕草が上品になったということがありました。著書にも載せているのですが「ガハハハ」笑いが「オホホホ」笑いに変わったんです。

中川:色がきっかけで、そこまで変わる方もいらっしゃるんですね。

南:色のもつパワーを改めて実感するきっかけになりました。お年寄りの方から気づかされることはとても多いんですよ。
一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会
中川:若い方とお年寄りの方とで、色に対する反応に違いはあるんでしょうか?

南:基本的にないと思います。ただ、しいて違いを言うとすれば、お年寄りの方が色からの影響を受けやすいですね。若い方は、色々な場所に行って色々な色を見ていますから、色からの刺激に慣れてしまっているのでしょうが、高齢者の方は、1個所に長くいることが多い分、色からの影響を受けやすいのかもしれませんね。

中川:そうすると、若い方とお年寄りの方とでカラー提案で注意するべき点も違ってくるんでしょうか?

南:そうですね。色からの影響もありますが、何よりも重要なのは「安全性」です。

中川:さっきの「水たまり」のようなことですか?

南:はい。認知症の方が誤解しないデザインを考えることは大切ですね。あとは不穏になるデザインは避けなければいけません。幾何学模様や興奮色を用いると、疲れやすくなったり、いらだったり、怒りっぽくなる方もいらっしゃるので注意する必要があります。

中川:幾何学模様は使ってはいけないんですね。

南:あと服装も大切なんですよ。介護する側の洋服の色が、介護される側にも影響を及ぼします。例えば暗い色はダメなんですよ。明るい色は何より「見えやすい」ので、何かあった時にも声をかけやすく、それが安心感にもつながるんですね。

中川:色が安全性や安心感に影響を与えるなんて、なかなか現場にいる方でないと気付かない盲点ですね。

南:ADL(日常生活動作)という指標があって、得点が高いほど1人でこなせる動作が多く、得点が低いほど介護が必要になってくるのですが、環境のデザインによってADLは変わってくるんですよ。分かりやすく安全なデザインは、自分自身で動作ができる手助けになりますし、逆に分かりにくいデザインは危険ですし自立の機会を奪ってしまうとも言えます。たとえば、「手すり」が目立ちにくいと何かあった時に掴むことができないのですが、目立ちやすいと何かあった時にとっさに掴まることができるんです。無意識でそこに「ある」とわかるようにデザインが必要なのです。あと段差やスロープも同じで、デザインで知らせる必要があります。

中川:そうすると、福祉や介護の現場では、安全性が何よりも大切ということになりますね?

南:そうですね。いちばん大切なのが安全性、その次に楽しさや心の豊かさに配慮する、それが「ユニバーサルカラー」ですね。
一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会
中川:ところで南さんは、介護と色に関する本を2冊出版されていますよね?こちらをご紹介いただけますか?

南:はい。これまでに「介護に役立つ色彩活用術」「介護力を高めるカラーコーディネート術」の2冊の本を執筆しています。福祉に色はどう役立つのかを、私の実体験から魂を込めて書いた本です。

中川:2つの本はどう違うのでしょうか?

南:「介護に役立つ色彩活用術」の方が総論的で、「介護力を高めるカラーコーディネート術」の方がより各論的、具体的な内容になっています。

中川:今までユニバーサルカラーに関するお話を伺ってきましたが、「ユニバーサルカラー」を一言で表現するとどうなりますか?

南:「年齢や障害を問わず、すべての方に利益をもたらすもの」です。利益とは、快適さだったり楽しさだったり心の豊かさだったり、QOL(Quality of Life=人生の質)を高めるような要素をもたらしてくれるものです。
カラーユニバーサルデザインの第一人者の方とお話していた時に、「南さん、僕はユニバーサルカラーと概念はないと思っているよ。だって、ユニバーサル=すべての方が対象ってことでしょう?目が見えない方はどうするの?」と言われたことがあったんです。

中川:えぇ!?それはまたすごいご指摘ですね。
一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会
南:でも、言われてみればその通りですよ。少し前に、mixiで先天的に目が見えない方と繋がったことがあるのですが、その方曰く「自分は茶髪にしている。たぶん目が見えていても茶髪にしていたと思うから。」と仰るんですね。周りの方からは「目が見えないのに茶髪にしてもしょうがないじゃん。」と言われたそうなんです。でも美容師さんに「目が見えないけど茶髪にしてください。」とオーダーしたところ、「この方だったらこうするだろう」というのをすごく考えて染めてくれたそうなんです。その話を聞いていて、「目が見えない方は、色について学ぶ機会がないのかも」と感じたんです。「赤」や「青」という色があるんだよ、ということは教えてくれるそうなんですが、それがどんな色なのかまでは教えてくれないそうなんです。例えば「茶色」というと、お茶から連想して「苦そうな色」だと感じるそうなんです。

中川:味覚のような他の感覚と関連付けていくしかないんですね。

南:だから、「ユニバーサルカラー」を完成させるためにも、ライフワークとして取り組んでいくことが必要だと感じるようになりました。

中川:南さん、とっても興味深いお話、ありがとうございました。次回は、昨年2010年に開発された「クリスタルカラーセラピー」についてお話を伺いますね。

(2011.8.29 一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会オフィスにて)


一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会

一般社団法人 日本ユニバーサルカラー協会

コンセプト:
子供から高齢者まで快適に暮らせる色彩環境、カラーデザイン、色によるメンタルケア手法の開発研究及び提案。

メニュー・サービス・商品:
クリスタルカラーセラピスト養成講座
クリスタルカラーセラピストティーチャー養成講座
色彩心理講座(入門・実践・スペシャリスト・インストラクター)
福祉・医療分野におけるユニバーサルカラーのコンサルティング
講演・企業研修・シンポジウム講師派遣
色彩に関する書籍、寄稿等の原稿執筆

所在地:153-0051 東京都目黒区上目黒1-2-11 藤和中目黒コープ201
アクセス:東急東横線・日比谷線中目黒駅より徒歩3分, 東急東横線代官山駅より徒歩5分
営業時間:10:00-18:00
定休日:土曜、日曜日(講座開催日は除く)
問合先:
  電話 03-3719-5673
  FAX 03-3719-5674
  メール unica@universal-color.jp
  問合フォーム http://www.cctherapy.jp/f_mousikomi.htm
Webサイト1:一般社団法人 日本ユニバーサルカラー協会 オフィシャルサイト
Webサイト2:クリスタルカラーセラピー オフィシャルサイト
ブログ:色彩日誌blog


一般社団法人日本ユニバーサルカラー協会

南 涼子さん

一般社団法人 日本ユニバーサルカラー協会理事長。
日本セルフアートケア(SAC)研究学会監事。
健康検定協会理事。
明治大学公開講座講師。
広告制作会社で企業イベントなどの業務に携っていたことから色彩の重要性を知り、色彩心理、配色理論、色彩計画、パーソナルカラー分析、色彩指導を学ぶ。1997年に文部科学省認定ファッションコーディネート色彩検定一級試験に合格後、高齢者施設・医療施設の色彩計画、高齢者や認知症に対応する色彩の研究に取り組み、特別養護老人ホーム・ケアセンターにてカラーワークセラピーの指導、実践を行う。
主な著書は、「介護に役立つ[色彩]活用術」(現代書林)、「介護力を高めるカラーコーディネート術」(中央法規)。

Cocolor(ココカラー)主宰 都外川八恵さん

2011-05-22

今回のインタビューは、Cocolor(ココカラー)都外川八恵(ととかわやえ)さんにお話を伺いました。


都外川八恵さんのお仕事:
カラー&ファッションスタイリングオーソリティ

都外川八恵さんのご経歴:

1998年 貿易商社にて
広報窓口担当 商品開発とブランドマネージメントに携わる
2003年 DICカラーデザイン株式会社にて
DICカラーデザインスクール運営や色彩講師、企業向けカラープランニングや企業の人材育成などに携わる
2009年 DICカラーデザイン株式会社を退職して独立
Cocolor(ココカラー)主宰
2011年 日本ファッションスタイリスト協会にて
「ファッションスタイリング検定」を立ち上げる。その公式テキストにあたる「ファッションスタイリング検定3級テキスト」を企画&執筆。現在2級についても鋭意企画&執筆中

Cocolorカラーニュース 中川(以下中川):都外川さん、本日はインタビューのお時間を頂きありがとうございます。早速ですが、都外川さんの今のお仕事内容をお聞かせいただけますか?
Cocolor 都外川さん(以下敬称略):人・モノ・空間、また衣食住において、色を始めとする様々なスタイリングを業種業界&老若男女問わず提案をしていく仕事です。

中川:都外川さんのコンセプトとしては色だけでなく「スタイリングとカラー」という形で打ち出されていますよね。なぜですか?
都外川:長年「色のプロ」として色の業界にいて、「DICカラーデザイン株式会社」にも6年いて、様々なデザイナーの方とも仕事でお付き合いしてきましたけれど、カラーリストに求められる多くのことって意外と感性ではなく理論的なことなんですね。デザイナーさんはすでに感性を武器に仕事されている方ばかり。カラーリストにはその感性を裏付けできる調査データや理屈&理論を求められることが多いんです。例えば「何故この色なのか」を裏付けできる市場的な理由であったり、学術的な理由であったり。1つの武器として長年その理論的な部分に携わってきましたが、もともと根本的に大好きであった具体的なコーディネートやスタイリングという部分にももっと力をいれたくて独立しました。

Cocolor中川:DIC時代の話も出てきましたが、じゃあ、都外川さんはどんなきっかけで色の世界に入ったんですか?
都外川:話すと長いですよ(笑)。もともと異文化や異文化コミュニケーションが大好きだったんです。物心ついた年頃から。当時は英語を使って国境をまたぐ仕事をしたいと思って、それで大学も外国語学部のある英語学科に行って、異文化コミュニケーションを専攻しました。大学時代は海外一人旅にもよく行っていたんですよ。

中川:えー、信じられない!
都外川:若かりし頃はね(笑)。でも、大学では普通に帰国子女がいたり、わたしよりもはるかに能力が高い方ばかりで劣等感があったんです。自分も努力したつもりなんですが、結局「つもり」だったんでしょうね。自分の能力の限界を感じちゃって。

中川:それだけ海外に行っていても?
都外川:貴重な大学時代、悔だけは残したくなかったのでやるだけのことはやりました。でも就職活動の時も、外資系の会社はことごとくダメで…。それで少しでも海外と接点のある日系の貿易商社に行ったんですね。

Cocolor中川:そこでのお仕事はどうでしたか?
都外川:典型的な昔の日本の会社といった感じで、始めは「この上司のコーヒーには砂糖何杯」なんて覚えさせられるようなくらい。

中川:総合職ではなかったんですか?
都外川:いやいや。今では相当変わりましたが、当時の会社は「男子は男子、女子は女子」という感じで。女子は責任のある仕事をあまり任されてもらえなくって。同期で入社した男性とは給料も仕事の内容も明らかに違ったんですよ。大学までは一切男女の差別なんてなかったし、国境をまたぐような仕事がやりたくて会社に入ったのに、理想と現実のはざまで空を見ては泣いていました(苦笑)

中川:信じられない!私のいた業界がたまたま女性向けの業界だったからかもしれないですが、同世代で男女差別を経験した話は初耳ですよ。それで、その状況からどう抜け出したんですか?
都外川:会社でインテリアの配置換えをすることになったんですが、そのアイディアで悩んでいるチーム長に「私やりましょうか?」って言ったら任せてもらえたんですね。あとは、実家に咲いていたお花をよく会社に持っていっては自主的に生けたりして。だんだん上司に「この子はこういうことが好きなんだ」って気づいてもらえるようになったんです。そうこうしているうちに、会社で自社ブランドを立ち上げましょうという話になって。ブランドのコンセプトやネーミングを考えたり、ブランドロゴのカラーやデザインを決めたり、商品やパッケージのデザインを決めたり、パンフレットやカタログを作ったり、ホームページを立ち上げたり、展示会を企画したり…と、色々なことをしなければいけないんですが、そういう会議に徐々に呼んでもらえるようになって。結果、広報の窓口を任されることになるのですが、様々な分野のデザイナーの方と一緒に仕事をさせて頂けるようになったんですね。最初は全く右も左もわからなかったんですけどね、「DTPって何?」みたいな…(笑)。でも何もないところからモノを作っていく作業って、自分の子供を生み育て世の中に送り出していくような感覚でとても奥の深さを感じたんです。その頃にはすでに色を勉強し始めていたので、「私は今更デザイナーにはなれないけど、コーディネーターにだったらなれるかもしれない!」って思ったんです。

Cocolor中川:つらい時代があってようやく道筋が見つかったんですね。それで色にはどうやって出会ったのでしょう?
都外川:自分が本当にやりたいことやできることを模索していた新卒当初のころ、電車の中吊り広告でたまたま「色彩検定」のポスターを見つけたんですね。もともと「色」って感性の世界だと思っていたんですが、検定のように1つの基準で測れるものだってことが衝撃でした。で、色彩の講座を見つけて行ったんです。そうしたら、色の見え方、色の心理効果…、教えてもらうことすべてが新鮮で、楽しくって楽しくって(笑)。実は大学時代からインテリアコーディネートだの、フラワーアレンジメントだの、Wスクールなどでいろいろ学んでいたんですが、「そうだ、色は全てのものについている!色のスペシャリストになれば、業種業界を超えてコーディネーター的な仕事ができる!」って思って、本格的に色を学ぶことにしました。

中川:「色を学ぶ」っていっても、本当に様々な講座がありますが、どのように選んで行ったんですか?
都外川:まずは色彩検定の講座で色彩学の基礎からですよね。それでストレートで1級まで取って。その後様々な流派のパーソナルカラーに触れ、その延長でファッション色彩、商品色彩に環境色彩・・・車1台は買えるくらいの金額をつぎ込みましたね(笑)。

Cocolor中川:それはすごい!で、DICカラーデザインに転職されたきっかけは?
都外川:ある時、DICでカラーデザインスクールが開校するということを知り、オープンセミナーを聞きに行ったんですよ。そうしたら、今までよりももっとカラーデザインの現場に近い空気を感じ、ここでならより自分にやりたいことができるかも!という直感が働き、まずはそのスクールの第一期生に入ることを決意しました。それで自分のスキルに本格的かつ最終的なブラッシュアップを図ったんです。

中川:DICで学んだことによって、何か次につながりましたか?
都外川:卒業するころになって、当時のカラーデザインスクールのマネージャーの方から「スクールの運営を手伝ってほしい」って言われて、それでDICに移ることにしました。2003年のことですね。

Cocolor中川:その当時のお仕事はいかがでしたか?
都外川: DICという看板を背負っていたのでプレッシャーもありましたけど、色を通じて様々な業界の先生に出会うことができましたし、自分自身でも授業やセミナーをたくさん持たせて頂けたので、とてもやりがいがありました。鬼のように働きましたね(笑)。また、ちょうどその当時、東京商工会議所主催の「カラーコーディネーター検定」が韓国でも初めて開催され、現地の方も韓国語で受験できるということになったんです。それで忘れもしない2005年の冬、数か月間ソウルに滞在し、韓国での第一期生の生徒さんのべ100名ほどにカラーのレッスンをさせて頂きました。その時、仮に言葉は通じなくても「色って業種業界だけではなく、国境も越えられるんだ」って身をもって実感したんです。ちょうどそのころ、人生初の著書「これで合格!カラーコーディネーター3級」「同2級」の2冊を出版させていただきました。雪が舞い降りる極寒のソウルで、授業の合間にその校正作業にも翻弄したのを、今でもついこの間の事のように思い出しますね(苦笑)

中川:DICのカラーデザインスクールが閉校した後はどうされたんですか?
都外川:DICカラーデザイン㈱のカラーリストとして、DIC株式会社の社員教育や、対外各種企業様向けのセミナー、また、カラーの企画や調査などに関わらせて頂くことになりました。また中国に点在するDIC CHINAの拠点や工場にも何度も足を運ばせて頂き、中国本土を移動しては、DICの現地採用の方への色彩教育にも熱を注ぎました。

中川:語学でかなえられなかった夢を色でかなえることができたのですね。
都外川:わたしにとって、色は世界が広がるひとつの「コミュニケーションツール」ですね。業種や業界だけではなく、国境も越えることができると思っています。実際、さまざまな業種業界さらに国境を越えて韓国や中国でもお仕事させて頂き、様々な方々とのコミュニケーションを通じて、本当に良い経験をさせて頂きました。大学時代に英語を専攻して挫折した話をしましたけど、「私にとっての第二外国語は色だったんだ」って。

Cocolor中川:都外川さんにとって、語学と色との決定的な違いは何だったんでしょう?
都外川:色は、本当に死に物狂いで勉強したし、それも苦にならないどころか楽しかったんですよ。語学は楽しいことは楽しかったけど、どこかで必要に迫られてやらされている感があった。やっぱり色が好きだったんですね。

中川:DICで海外でも仕事をして念願も叶ったのに、独立したのはなぜ?
都外川:色の仕事をし始めて干支が一回りしたころ、一つの踊り場に立ったんです。その時、色に加えて「ファッション」も軸にしたいと強く思ったんですよ。

中川:でもDICってファッションってイメージがあまりないですよね。それに最初に勉強したのもインテリアやお花だったというお話でしたが。どのような経緯でファッションを軸になさったんですか?
都外川:もちろんインテリアもお花ももともと好きなんですけど、やっぱりファッションは、全ての人にとって毎日が選択の連続だからさらに身近な存在ですよね。実はファッションに関しては、色と同じくらいの大好きがこうじて、パーソナルカラーの延長線上で長年個人的に探究し続けてきた分野でした。DICとの契約以外の部分で、個人的にパーソナルスタイリングのお仕事のご依頼も増えてきましたし、その経験の中で自分自身で培ってきた理論やノウハウもたまってきたので、そろそろそれを本格的に具体的な形に表したいと思っていたんですね。あとは、実際のスタイリングやコーディネートなど、「色」だけではなく「質感」や「柄」や「形」などでももっと具体的に目に見える形でお客様にご提案できる仕事や、調査のような裏方仕事だけではなくお客様の顔がダイレクトに見える仕事がしたいとも思っていたんです。

Cocolor中川:今は、日本ファッションスタイリスト協会でもお仕事をなさっていますが、どのような縁でお仕事をなさることになったんでしょうか?
都外川:ファッションスタイリスト協会併設のスタイリスト事務所ではスタイリスト養成スクールも開校しているのですが、ある時そこでオープン講座があって。たまたま見学に行ったんですね。それで、「今後何かつながるかも知れないから、職務経歴書だけ置いて行って」って言われて。そうしたら、しばらくしてお声がかかったんです。

中川:一緒にお仕事をしようって声がかかったのですか?
都外川:スタイリストさんたちは、デザイナーさんとどこか似ているところがあって。「好きこそものの・・・」でもともと感性や感覚は優れている方が多くて、さらに現場の中で培われてきた経験は豊富だけれども、でも結果的に、本当の意味で食べていける方って実はすごく少ないんですよ。それで「スタイリストの底上げをしたいですね」という話になって。要は、「何故(どうして)このスタイリング(アイテム)なのか」といった理論を、客観的に裏付けされた提案力や説得力を持ってコミュニケーションできる力をつけないと、これからの時代はさらに厳しいのではないかと。この時、DICのカラーリスト時代に培った「感性を裏付けできる理論を具体的に構築する作業」といったスキルが非常に役に立ったと思いますね。

Cocolor中川:それで、「ファッションスタイリング検定」を立ち上げたんですか?
都外川:そうなんです。「ファッションスタイリング検定」では、「感性の理論化」や「理論の感性化」という言葉を使っているのですが、感性を裏付けできる論理的な力や、その一方で、理論だけでは片づけきれない感性の部分、その「理論と感性のバランス」を養うことで、感性を武器に仕事をされる方々の手助けになればよいと思っています。

中川:「ファッションスタイリング検定」は、どのような方向けにどういう目的で作られたんですか?
都外川:ファッションに苦手意識を感じる方から、ファッション業界に進みたいと思っている方、また、実際にすでにあらゆる美の創出や提案に関わる現場で仕事をされている方で、クライアントに対してより説得力のある提案力を身に付けたい方など、幅広い方々に受験して頂きたいと思っています。

Cocolor中川:パーソナルカラーをお仕事にする方にとってはいかがですか?
都外川:パーソナルカラーで陥りがちなのが、例えば「あなたは●●タイプだから、この色、この形、このテクスチャー」という風に、分析や分類することが最終目的となってしまって、型に当てはめるような提案をしてしまうことだと思うんです。でも、ファッションスタイリング検定では、それを目標にはしていません。例えば、「サマーだけど、スプリングに寄せたい」という場合だってあるでしょうし、装うことやスタイリングの目的は無限!様々なアプローチができると思うんです。例えば色で寄せる方法もありますし、素材や質感で寄せる方法もあります。また、柄やラインやシルエットなどの形で寄せる方法もあります。「ファッションスタイリング検定」は、色だけではなく、質感や柄やラインやシルエットも同じように切り口に加え、スタイリングのありとあらゆる目的といった、様々な状況に対応できるようになることを目標としています。

Cocolor中川:今回は3級のテキスト「分析・分類編」が発売になりましたけど、今後上位の級ではどのようなことをするのでしょうか?
都外川:2級ではより実践的なコーディネートについて触れます。そのコーディネートには、アイテムどうしのコーディネートもありますし、アイテムとヒトとのコーディネート(マッチング)もあります。その中には体型カバーテクニックということも入ってきます。さらに1級では、クライアントの潜在ニーズをも的確に捉え、ファッションのみならず、衣食住ありとあらゆるスタイリングをクリエイトできるような提案力というところまで踏み込んだ内容になる予定です。

中川:「ファッションスタイリング検定」を取得すると、どのようなメリットがあるのですか?
都外川:例えば、ひとつの「美」を創り上げていくという現場では、スタイリストだけではなくヘアメイクやカメラマンなど様々な分野のプロフェッショナルな方たちが携わることになるかと思いますが、その際に感性の世界の1つの共通言語のようなものを持っておくとお互いに話が通じやすくなると思うんです。そうすることで、様々な分野のスペシャリストの方が、クリエイトすべく目的に向かって、共通認識を持ちながら共に「美」を創り上げていけるというメリットが1つ。2つ目は先ほどお話ししましたように、「なぜこのスタイリング(アイテム)が良いのか?」「なぜ似合うのか?」といった「なぜ?」の部分の説明が論理的にできるようになることで、第三者であるクライアントさんにも説得力のある提案ができるようになり、信頼感を得られるということです。

Cocolor中川:スタイリスト向けの資格ということなのでしょうか?
都外川:いえ、確かに実際のスタイリストさんやスタイリストを目指す学生さんに最適の資格ではありますが、そうでない方にももちろんご受験頂けますよ。たとえば、都内の某大手百貨店ではコンシェルジュさんの教育に採り入れて頂いていたり、メイク&ネイルスクールの学生さんに採り入れられているケースもあります。「○○だから、このスタイリング(色や質感や柄やラインやシルエット)」と自信を持って言えるような、説得力を必要とされているすべての方に幅広くご受験頂きたいです。

中川:では、最後の質問ですが、都外川さん自身が5年後10年後どうなっていたいかお聞かせいただけますか?
都外川:もっともっとカラーやファッションやスタイリングの楽しさを広く世の中の方に伝えていきたいと思っています。よく「何をどう選べばいいのかわからず、いつも同じアイテムばかり選んでしまいます…」とか「体型のこの部分がどうしても気になって…」というように、ファッションを楽しんでいない方が多いんです。でもファッションは基本楽しむためのものですし、何よりも自分自身を表現するためのコミュニケーションツールでもあります。「スタイリングに迷ったらこの人に聞け」と言われるくらい、あらゆるスタイリングを通して人生を豊かにできるお手伝いができればよいと思っています。そのためには、もっともっと本も書きたいし、全国といわず国境を越えてセミナー行脚もしてみたいし、コンサルティング力にも磨きをかけたいですね。業種業界を超えて、これからも様々な方に出会っていきたいと思っています。

(取材日:2011年4月25日 一般社団法人日本ファッションスタイリスト協会内にて)


【サロン情報】

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